Yの悲喜劇

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腐女子/商業BL/読書/漫画/アニメ

【ゲーム】シャニマスの福丸小糸がつらい

 土日休みを使って「アイドルマスターシャイニーカラーズ」(以下シャニマス)の新ユニット「ノクチル」の4人をプロデュースしてみた。

shinycolors.idolmaster.jp

 TLで流れていた通り浅倉透は顔がいいという最強の武器を携えていながらそれに無自覚な女で、樋口円香は生真面目系の毒舌ツンデレだった。デレ少ないけど。市川雛菜は……君のように生きれたら最高だよな……。

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福丸小糸(アイドルマスターシャイニーカラーズ公式より)

 福丸小糸は、TLスピードラーニングでは一番情報が少なかった。ぴゃぁ!?という鳴き声やロリっぽい高音ボイスからあーそういうキャラねくらいにしか思ってなかった。

 唯一、加入キャンペーン時の「みんな、私がいないとだめなんですよ~!」が怖かったのは覚えている。私がいないとだめだと口に出す女はそう思い込んでる地雷案件か、本当にいないと駄目なケースの2択しかない。そして後者は正直思っていても口には出さないことの方が多い。

 なのにプロデュースした今、福丸小糸のあり方がつらくてたまらない。

 

 全編ネタバレして福丸小糸のつらさをつらつら吐き出していきます。小糸はじめノクチル4人のプロデュースまだの人は先にプロデュースをお願いします。

 (考察もへったくれもない重度の腐女子怪文書だよ! 土日ずっと小糸の理解に費やしてきたから病み気味&ポエム気味だよ! あとシャニマスは気が向いた時にぽちぽち触っている程度の人間なのでガチ勢には程遠いです)

 

 

 

 最初のスカウト時点ではあー親が厳しい系ね、くらいにしか思っていなかったんですよ。

 

 最初に反応に違和感を覚えたのはシーズン1で休ませた時です。

あ、えっと、ですね……

わ、わかりました……

 なんでそんなに嬉しくなさそうなの……? 休みだぞ……? 高校生なんて遊びたい盛りじゃんもっと喜ぶところじゃないのか……?

 

 ここで気になってから小糸の一挙一動が気になってだめでした。朝コミュで勉強できるんだねって褒めたのになぜびくつかれるのか、親にアイドルやることすら言えないのになぜPには「大丈夫ですよ」なんて強がるのか。

 樋口円香のように直球の敵意をぶつけられるわけじゃなく、ずーっとこっちの機嫌を上目遣いで伺ってくるのがしんどかった。アイマスのPはアイドルのやる気を出させる役であって、アイドルに接待させる役ではないと思っているので。

 

 なんでこっちが居心地悪い気持ちになるのか。シーズン2とシーズン3のコミュは答え合わせでした。

 親が厳しくて勉強漬けの毎日だった。周りの才能がすごいから、努力を積み重ねて追いつくことしかできなかった。

 言葉にしたら真面目系努力型の子なんだねで終わるけど、それまでのびくついてる小糸を見ていたら、この告白は今の彼女を形成する原因であって、外殻のすべてではないと思った。

 

 福丸小糸は、生きてく中で徹底的に自己肯定感を削られてきた子なんだ。

 

 分かった瞬間、今までのプロデュースでの居心地の悪さが全部つらさとしてのしかかった。

 休ませた時に嬉しくなさそうな反応をするのは、「もう来なくていいよ」と言われているようだったから。

悩みはあるか聞いても「大丈夫ですよ」と会話を断ち切ってきたのは、自分の悩みを話すことがこちらの迷惑になると思われていたから。

 オーディションで開始前におびえてるのは緊張だけじゃなく、自分が受かるわけがないという先入観があるから。

 小糸が「私がいないとだめなんですよ」と言うのは、そう自分で自分に言い聞かせないと自分がいなくてもいい存在なんじゃないかという不安に震えているから。

 

 そもそも振り返ると、最初の面接の段階で声をかけたら「ぴゃっ!?」と鳴かれたのは、P=大人の男の人が怖かったんじゃないか。

 シャニマスのPは樋口円香に揶揄される程度に熱血気味で、田中摩美々には反応見たさにいたずらされるほど誠実で、どのアイドルにも真摯に向き合っている、正しくイケメンだと思う。不必要にアイドルを怖がらせる男性ではない。

 けれど、幼馴染と離れたくないからという理由でアイドルを志望した小糸にとって、面接という「自分の資質を判断される場所」で出会う大人の男の人は、小糸にとっては恐怖の象徴に等しかったんじゃないか。

 

 福丸小糸のあり方がつらい。

 生きていく中で「あなたにできるわけがない」と少しずつ自己肯定感を削られていって、周りの子はすごい=私はすごくない、という価値観が形成されていて、大人の男の人におびえながら、それでも幼馴染と離れたくない一心でアイドルを志望した小糸がつらい。

 幼馴染3人だって、それぞれ特別な才能はあるけど、小糸が言うほど完璧ではない。

 市川雛菜は自分がしあわせでいるために苦しいこと・面倒なことはやらないと決めているし、樋口円香は資質を測られたくないからと努力を隠して自分で自分のゾーンを規定する癖がある。浅倉透は顔は最高にいいが物事を深く考えたり、自分の考えを出力したりすることは滅法苦手だ。

 たぶん小糸の親はわかりやすい虐待親・毒親ではないと思う。勉強との両立を条件にアイドル活動を許可しているし。むしろ世間一般には大事に育てられたお嬢さんと見られる家庭じゃないかと思う。

 けれど、「アイドルなんてできるわけがない」と言われたように、あなたにはできない、努力すればもっとできるだろう、と言われて、本当に少しずつ、少しずつ自己肯定感を削られて育ったんじゃないかと勝手に思う。

 小糸はたぶん頭がいい。新入生で総代を取っただけじゃなく、地頭もいい。何を言うと人が機嫌を損ねるか、怒られないか、先回りして考えて動く癖が染みついている。

 人とはだれを指すか。一番は小糸の親であり、つまり大人だ。

 小糸にとってPは機嫌を損ねないように接する対象なのだ。

 

 シャニマスのPは私ではないので、そんな小糸のあり方を否定せず、真摯に向き合う。

 小糸が幼馴染のことを楽しそうに話すこと、勉強やレッスンを頑張ってきたこと、一つずつ小糸のいいところを話して小糸の自己肯定感を育てる。

 小糸は他人から何の根拠もなしに「すごい」「君はできる」と言われても額面通りに受け取ることができない。Pはそれをわかっているから、「練習量なら一番」「頑張ってきたことが一つの才能」と、小糸の今までをもって小糸をほめる。それが小糸にとっての自信につながるから。

 小糸のW.I.N.G優勝までのコミュは、小糸の肯定の物語だ。Pによって自信を培ってきた小糸が、優勝して自分のなりたいアイドル像を語るラストは、小糸こんなに大きくなって……と感慨深かった。

 

 私は作中のシャニマスPのようにはなれない。

 正直、リアルで小糸みたいな子がいたら仲良くするには疲れるので距離を置くと思う。(その点で小糸におびえられない程度に気遣って接することができる円香はすごい)

 褒めても謙遜するか、虚勢を張る子を真っ向から相手できる気力が私にはない。

 W.I.N.G敗退して、「何がいけなかったのか」と自分を責める小糸に、「小糸は何も悪くない」と言えても、「たった一つの正解ルートなんてこの世にはない」と伝えることはできない。

 

 だから私は、小糸を幸せにすることができない。

 自分の中で自分がなれる理想の脳内Pを妄想するんだよ!と言われそうだが、私は重度の腐女子なのでそういう考え方を自発的にできる人生を歩んできていない。作中に出ている登場人物をカップリングさせることに脳細胞を費やして生きてきた。

 作中のシャニマスP×小糸で妄想するんだよオラァ!と私のゴーストが私にささやいているが、正直シャニマスPのCP相手はまみみが一番似合うと思ってる人間としては、シャニマスPは小糸のCP相手としてなんか……違うんだよな……小糸の真摯な先生ポジションだと思うけど……。

 ノクチルの他3人とは仲良くできるが、小糸にとって特別で大切な1人=CP相手は(私の中では)今のところいない気がする。*1

 ノクチル4人で幸せになれる妄想はまだできそうだけど、私には今のところポリアモリー属性がない。あと透を抜きにしたら円香・雛菜は互いに干渉しないよなあと思う。

 

 私は小糸の人生にとってただのモブにしかなれない。

 だから小糸に対して「幸せになってくれ」と願うのは勝手な押し付けだと我ながら思う。

 それでも小糸には幸せになってほしい。

 徹底的に自己肯定感を削られてきて、たった一つの正解を常に考えながら努力を積み重ねてきた子が幸せになれない世界はつらすぎる。

 

 

 長々と語ってしまった……。ノクチル誰も刺さらなさそうだなーとTL俯瞰していたのにこんなことになるとは思わなかった。

 小糸よ、頼むから幸せになってくれ……。

*1:今のところ、と予防線を張ってるのは今後何かのコミュで落ちたらという危険回避のためです。CP沼に落ちる時は大体予測不可能回避不能な時だって今までの人生で学んだ