Yの悲喜劇

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【BL漫画】「IN THESE WORDS」4巻→1巻と読んでめちゃくちゃ篠原に萌えた話をしたい

 「IN THESE WORDS」の最新刊が発売された。

  発売間隔が長いことを除けば大変面白いサスペンスBL漫画で、新刊が発売されてとてもうれしい。

 話の時系列的には2巻後半→3巻→4巻→1巻→2巻前半と展開していて、この4巻でようやく1巻で起きた精神科医浅野克哉vs殺人鬼篠原の真相が分かる。

 4巻を読み終えて、即1巻を読み返した。めちゃくちゃ萌えた。

 1巻を読んだ当時はとても面白い漫画に出会えたくらいにしか思っていなかったけど、真相を踏まえて改めて読む1巻は全てが萌えに満ちている。

 

 どこにどう萌えたのか語りたいので以下長文でつらつら吐き出しています。全編ネタバレ注意。

 

 

1.篠原のイメージ変遷

①1巻~2巻前半(殺人鬼篠原)

 シリアルキラーとして浅野先生と対峙する。人の心を弄ぶことを楽しみ、甘いマスクの下に暴力性を隠しているS攻めだ。こういう攻めは好みのタイプから外れているので、サスペンスとして面白く読んでいた。

②2巻後半~3巻前半(刑事篠原)

 遡って刑事篠原が浅野先生と出会って恋人同士(と言って差し支えない関係)に。刑事としての篠原は有能だけれど、男としての篠原は程よくストレートで気が緩みがちなところがいい。篠原も平均的にはクールなんだけど、浅野先生がそれ以上にクレバーなので相対的に篠原が犬っぽく見えるのが可愛い。

 2巻の巻末で浅野先生にいいようにあしらわれて骨抜きにされているところがかわいい。上手く距離を詰めたはずが一枚も二枚も上手な受けに翻弄される攻め、いいよね……。

③4巻(恋人篠原)

 仕事に邁進しながら、ズタボロになった浅野先生の回復を健気に待ち、回復後も浅野先生に尽くす姿がいい。回復後も終盤で篠原自身も言っているけど忠犬攻めだ。

 4巻後半の篠原と浅野先生のやり取りが、それまでの話の流れを塗り替えるほど凄い。

 止まらない連続殺人に対抗するため、殺人鬼からの唯一の生存者である浅野先生が、薬によって記憶を操作し、あえて監禁当時の状況を再現して失われた殺人鬼の記憶を思い出そう、と提案する。

 自身が傷物になる未来が目に見えている博打を提案する浅野先生の強靭さも、大切な恋人が自分のことを忘れて炎の道を歩もうとしているのを「貴方の望むことだから」と受け入れる篠原の献身も尊い

先生の中から俺が消えたとしてもまた最初から始められるって信じてます

俺の記憶をなくしてもいつかまた俺を見つけて思い出してくれるって

先生は信じてくれないんですか?

…もし …もし先生が俺を思い出せなくて嫌われたとしても 命をかけて先生を愛するから――

  この流れをもって、私が今まで見ていた「IN THESE WORDS」の景色が一変する。

 篠原視点で見た時、「IN THESE WORDS」は自分と恋人だった記憶をなくした受に拒絶されても、「連続殺人鬼」の仮面を被ってかつて愛した受けの願いを遂行する話に変わる

 ……最高では……?

 受にどれだけ拒絶されても、受の願いを遂行するためにはかつて自分と恋人だったことを受に話すことはできない(話しても受の状況的に信じてもらえるとは思わないが)ただ受が記憶を取り戻し犯人確保を成し遂げるため、「連続殺人鬼」を演じ続ける。

 変格転生もののようなシチュエーションだが、それまで2人の出会い、ズタボロになった浅野先生を見て、浅野先生の願いを聞き入れるところまで追っているから、単なる転生もののテンプレとは思わせない説得力がある。

 4巻を読み終えて、即1巻を読み返した。篠原が何を思って1巻で連続殺人鬼を演じたか、確認したかったからだ。

 

2.篠原の演技

  全てがわかった後だと、1巻の篠原の甘いマスクの下に隠されていたのが、殺人鬼の凶暴さではなく記憶をなくした浅野先生への恋情だと知れて、切なさが募る。

 有能な刑事らしく、篠原は演技が上手い。1巻を読んだ当時はそもそも演技だとも思っていなかったが、再読しても知らなければわからないくらい「連続殺人鬼」の仮面は分厚い。

 けれど、その篠原でも少しずつぽろっと本音が漏れている。

 一番最初に漏れたのはここだと思う。

まああんたなら甘やかしまくって好きなだけ挿れてあげるけどね

俺でいっぱいになって もう俺なしの状態が思い出せなくなるくらいに 

  1話目ラストのシーン。初読時は連続殺人鬼のサディスティックないたぶりの一環だと思っていたけど、今読むと単純に改めて2人で愛し合いたいという本音だだ漏れの言葉だった。

もうこの世にはいないけどものすごく愛してた人がいた

アンタがその人だったら良かったのに… 

  記憶をなくした以上、かつて愛した浅野先生ではないと悟りながらもあきらめきれない篠原の漏らした言葉だと分かると、途方もなく切なくていい。

 

3.今後の展開

 4巻を終えてようやく2巻前半まで追いついたので、これからは間違いなく未来の話になる。

 「IN THESE WORDS」は発売間隔が長いので続きを見れるのはまだだいぶ先の話だと思うけど、4巻があまりにも萌えたので、この先を楽しみにしています。

 ただ、ここまで篠原萌えますよ最高ですよと言っていて難だけど、「IN THESE WORDS」のメイン攻めが篠原ではない可能性は多大にある。帯でずっと「連続殺人鬼×精神科医」と謳っているので、メイン攻めは篠原ではなく殺人鬼の可能性は捨てきれない。

 今後続巻を読むにあたって、外伝の作者のあとがきをここに残して自戒とする。

人間は人生の中で色々な人を愛することができます。

ある人を愛したからと言ってもう一方の愛が減るということではありません。

  素晴らしい言葉だ……。