【雑談】「顔カプ」呼称への疑問から考えてみたカップリング萌え傾向における3つの大分類
Twitterのタイムラインで○○×○○は顔カプか否か、という話題が流れてきた。
話題の元になったカップリングはそもそも原作のソーシャルゲームに触れていないのでそれがいわゆる「顔カプ」かどうかはわからないけど、そもそも「顔カプ」という語彙がdisとしていまだに通用することに驚いた。
ソーシャルゲームのキャラクターはおしなべて顔がいいので、「顔カプ」と言われてもピンとこない。disの意図を考えるとなら「接点無しカプ」と言われた方がまだ分かる気がする。*1
上記pixiv百科事典のリンクで「顔カプ」の記述を確認したけど、「原作で明確な関係性がない、または希薄なカップリングの総称」と定義されると「顔カプ」という呼び方はズレているんじゃなかろうか。
ふた昔前にdisり語彙として使ったら使いやすかったので共有された結果、現代(特にソーシャルゲームジャンル)にはそぐわなくなったけど、昔使ってた名残で便利なdisり語彙として使っている、というくらいじゃないかなあと思う。
というところから、カップリングの萌え傾向は3つの大分類の割合からできているんじゃないか、と考えている。
自分の思考整理も兼ねて以下ぐだぐだと書いています。
<前書き>
- あくまで私が「カップリング萌え傾向を大別するならこの3つになるのでは」という観点で語っています。主語は私。
- どの傾向を重視している人が偉い、この傾向を重視している人はダメ、という優劣をつけるつもりは一切ありません。
- 「カップリング萌えにあたって何を重視するか」であって、「特定のカップリングが作中の何の要素を重視しているか」ではありません。カップリング萌えは基本的に(共有も可能な)個人の主観です。
- 「カップリング萌えにあたって何を重視するか」の視点で語っているので、「萌えたカップリングについてどう創作表現するか」は度外視しています。
- どの萌え傾向を重視していようが妄想は同列です。
Ⅰ.カップリング萌え傾向の3つの大分類
1.身体的特徴重視
「顔カプ」という呼称はそぐわないとは思うけど、カップリングにハマる・受け攻めを決める基準に当人の性格気質に依らない身体的特徴を取り入れることはある。
もう少し細かく分類すると以下の通り。
①顔の造形
吊り目・たれ目・丸顔・面長等。髪型もこの中に入るか。少し前にTwitterで「金髪と黒髪ならどちらが受けか」というアンケートが回ってきました。
②顔以外の肉体
身長と筋肉量がここに当てはまる。体格差や「雄っぱい」受けとかはこの区分ではなかろうか。
③年齢
年下×年上、あるいは年上×年下、または同い年CPなど。ただこれは後述する「社会的立場」との兼ね合わせもある。
④種族
ファンタジー要素のある作品でカップリングを考えるときに考慮される要素。短命種と長命種の組み合わせは良いものです。
2.キャラクターの性質重視
特定キャラクター限定の関係に依拠しない性質を指す。
この分類だと難しいなと思うのはツンデレ。ツンデレは相手がいないと成立しない性質なので。「特定の相手に対してツンデレ(他の人への態度は普通)」は関係性重視に区分してもいいと思ってる。
分類してみると以下の通り。
①性格(どの登場人物相手にも一定以上共通した態度)
特定の相手にだけ冷たいor優しいなど「特定の相手だけ態度が違う」点はキャラクターの性質重視というよりは関係性重視の方が当てはまるのでは、と思ったので()内を付け加えた。
○○な性格のキャラ×◆◆な性格のキャラが絡むのを見たい、はここに分類されると思う。
性格なんて無数のキャラクターがいる現代ではいろいろ異なるのでは、と思うので、ざっくりタイプ分類するのに役立つのがMBTI。
最近勉強している。知人や有名人をはじめ自分以外の実在の人物に当てはめようとは思わないようにしてるけど、創作キャラクターの好みの傾向を知るのに便利だと思う。エニアグラムも勉強したい。
性格を重視する場合、カップリング萌えだとさらに以下2パターンに分類されると思う。
- 左右どちらの性格も重視
- 片方のみの性格を特に重視
1か2どちらかしかない、というよりは1と2の線上でどこに位置するか人次第、といったところだろう。
②口調
方言がここに当てはまる。敬語口調とかも当てはまるが、「普段敬語のキャラクターが特定のキャラクターにだけべらんめえ口調になる」とかだと関係性重視に当てはまると思う。
③社会的立場
同僚同士・同級生同士や先輩・後輩など。職業もここに入る。
ただ「2人1組」といったバディものは「特定の相手と相対した際に表れる社会的立場」ということで関係性重視の方に入るのかなと思う。
④環境
そのキャラの生育状況。孤児院育ちとごく普通の一般家庭で育った子のCPなど。
⑤運命
大げさな書き方をしたけど、要は作中においてそのキャラが辿る人生を指す。作中で死亡するキャラクターに対して「死亡するから萌える」という感情を抱いたことがある……あるよね……!?
⑥性能
ゲームのキャラクターのステータスである。ただの数値もキャラクターに付随すれば萌えに変わる。
3.キャラクター同士の関係性重視
作中でキャラクター同士がどういう関係にあり、何をしあったか……という設定・描写を重視する場合はこのカテゴリに入る。
単語で細分するとバディ・ライバル・共犯者など。どれもいいですね。
ここについては、「作中でどういう描写がされたか」になり、細かく分類するとキリがないので控える。
ただ、これはぐだぐだ思考を巡らせてきたなりの私の考えになるけど、「関係性重視」の場合作中の描写に対する重要性がが人によって以下2パターンに分かれると思う。
- 作中で「どのような」描写がされたか
- 作中で「どれだけ」描写がされたか
こちらも1か2かという二元論ではなく、1=x軸、2=y軸として人によって重要性がどこに位置するかが変わるイメージだ。
Ⅱ.カップリング萌え傾向は大分類の割合で決まるのではないか
1.萌え傾向がどこにあるかRGBに例えてイメージしてみる
3つの大分類に仕分けしてみたけど、この3つのうちどれか1つだけしか重視しない、という人はあまりいないのではなかろうか。
自分がカップリング萌えでどこを重視するか、RGBのイメージ図に例えるとわかりやすい気がする。
雑に文字を入れたので少し見づらい。
この表のどこに自分の萌え傾向を置くか、だ。分かりやすいフリー素材を借りたのでこれだと大体真っ白の位置に来るのでは、と思うが、実際はRGBカラーサークルのようにR・G・Bそれぞれの値の割合によって色が異なる。
自分がカップリングに萌えるにあたって何を重視したか、はこのイメージ表のような割合で決まるものだと思う。
2.これまでの自分の考えに自己ツッコミ
キーボードを叩きながら思った。キャラの性質と関係性って分ける必要なくない?
どの媒体のどの作品もそうだけど、キャラクターの内面って相対する他キャラクターとのやり取りを経て描写されるもので、切り離せるものではない。キャラクターが単独でキャラクターとして存在できるケースはほとんどない。ソーシャルゲームだって対プレイヤーキャラクターへのテキストでキャラクターの内面が表れる。
卵が先か鶏が先か、の問題になるけどキャラの性質と関係性は基本的に切り離せないものだと思う。
ただ、それを考えた上でキャラの性質と関係性を分けたのは、よほど少人数しか登場人物のいない作品を除けば、AというキャラクターもB・Cだけでなく色々なキャラと交流していくわけで、「B相手だけに表れる性質*2」と「Bを含め(あるいは除外して)作中の大半のキャラクター相手に共通して表れる性質」は違うものではないか、と思ったからだ。
3.自分はカップリング萌えにあたって何を重視するか
今まで自分は関係性重視のCP萌え人間だと思っていたけど、こうやって分類するとそうでもなかったのでは……!? と思いなおしている。
身体的特徴重視はしていないつもりだったけど、ショタは好んで読まないし、かといっておじさん・老人にも強く惹かれない。学生~青年くらいのラインが一番好みだ。
「原作のこのシーンで描かれる関係性が!このシーンを契機に互いに抱く感情が変わるのがいいの!」とよく熱弁するけど、似たような関係性でもキャラの性質が異なれば惹かれないことは多々ある。
キャラの性質で言うと、自分はIST×のキャラ*3が××FP*4のキャラによって価値観を乱されるのが好きだ。ということにMBTIを勉強していて気が付いた。
自分のカップリング萌え傾向は関係性を重視しつつ性質に拘りかつ身体的特徴がNGじゃなければいい、というところではないかなあと考えている。めんどくさいな。
普段感覚的かつ無意識のうちに処理しているカップリング萌えを文章で整理すると、だいぶ面倒くさいことをやっている。無意識の処理ってすごい事をしているんだな……。
【ゲーム・CD感想】ミリシタTC「クルリウタ」感想~信じて送り出したアイドルがえらい目に遭ったので考察したい~
アイドルマスターミリオンライブ THEATER CH@LLENGE 03「クルリウタ」が発売された。
THE IDOLM@STER MILLION LIVE! ニューシングル
- アーティスト:野々原 茜(CV.小笠原早紀)、島原エレナ(CV.角元明日香)、桜守歌織(CV.香里有佐)、二階堂千鶴(CV.野村香菜子)、北沢志保(CV.雨宮 天)
- 発売日: 2020/07/29
- メディア: CD
私は島原エレナ*1推しなのでウキウキしながら聞いた。投票で勝ち取った役なので嬉しかった。
……えらい目に遭った。
何がどうえらい事になったか、以下感想&考察です。ネタバレしかないのでCDを聞いてから見たほうが良いです。
あと担当・Pを名乗っていいのか自分の中で整理がついてないので、「推し」と表記しています。ご了承ください。
*1:上記CDジャケット右下の緑髪の子です。かわいい
【小説】ぼぎわんが、来る(澤村伊智) 映画を振り返りつつの感想
「来る」が8月よりアマゾンプライムビデオ見放題に入る。
ちょうど原作の「ぼぎわんが、来る」を読んでいたので、タイムリーだった。
幸せな新婚生活を営んでいた田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。取り次いだ後輩の伝言に戦慄する。
それは生誕を目前にした娘・知紗の名前であった。原因不明の怪我を負った後輩は、入院先で憔悴してゆく。
その後も秀樹の周囲に不審な電話やメールが届く。一連の怪異は、今は亡き祖父が恐れていた“ぼぎわん”という化け物の仕業なのか?
愛する家族を守るため秀樹は伝手をたどり、比嘉真琴という女性霊媒師に出会う。
真琴は田原家に通いはじめるが、迫り来る存在が極めて凶暴なものだと知る。はたして“ぼぎわん”の魔の手から、逃れることはできるのか……。
実は先に映画「来る」を映画館で見ていた。
映画はホラーが苦手なりに面白かったけれど、感想を回っていると原作既読の方が「原作と違う」とコメントしているのを複数見つけた。
当時は原作未読だったのでそうなんだ程度にしか思っていなかったけど、このたび原作を読んで分かった。映画と原作はホラーとして別物だ。
以下、映画・原作両方のネタバレしつつの感想です。
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【小説】夜よ鼠たちのために(連城三紀彦) 感想&萌えポイント覚書
フーダニットやハウダニットよりもホワイダニットの方が好きな人間にとって御馳走フルコースみたいな短編集でした。
脅迫電話に呼び出された医師とその娘婿が、白衣を着せられ、首に針金を巻きつけられた奇妙な姿で遺体となって発見された。なぜこんな姿で殺されたのか、犯人の目的は一体何なのか…?深い情念と、超絶技巧。意外な真相が胸を打つ、サスペンス・ミステリーの傑作9編を収録。『このミステリーがすごい!2014年版』の「復刊希望!幻の名作ベストテン」にて1位に輝いた、幻の名作がついに復刊!
超絶技巧、という表現がなるほどよく似合う短編集。ミステリの楽しみ方にいわゆる「構図の反転」を重視している人間にぴったりの作品集でした。全編気持ちよく騙される。
基本的に読者-視点人物-真相視点の3点それぞれの認識差からくるトリックもの*1で、そういうやり口だとわかっていても、落とし穴がどこか悟らせない語りが上手すぎて、気づいたら罠にはまっている。悔しいっ……でも気持ちいいっ……!
全編こってりハイレベルだけれど、中でも表題作は凄い。この表題作で使われているギミックをバラせば短編が5つ作れると思う。どれ一つとってもややこしいネタを詰め込んで50P超程度で捌いてまとめている。ひたすら濃厚なのに喉越しはスッキリしてるのが信じられない。
でも個人的に一番ミステリとして好きなのは「二重生活」。構図の反転が好きな人間にとって、たった一言で景色をひっくり返してくれる鮮やかさが凄くいい。
表題作を筆頭に、濃厚なネタを短編として調理していることへの勿体なさはあるけれど、私はミステリに限らず短編集には「短編ならではのスッキリした切れ味」と「長編が書けそうなネタを破裂しない程度に短編に詰め込む贅沢さ」を求めているので、その点ですごく私向きでよかった。
さて、あらすじに「深い情念」とある通り、「夜よ鼠たちに」は全編語り手なり真相側の人間なりが他者にたいしてドロドロと煮詰まった情念を抱えている。その情念が男女間・女女間だけでなく、男男間にもある。素晴らしい。
男男間の情念は嗜好にうるさい腐女子視点では、これが恋愛だったらちょっとどうだろう……と思うものが並んでいる。それが恋愛ではない形で処理されているのでどれもおいしく頂ける。素晴らしい。
以下、ネタバレもりもりで萌えポイントの覚え書きです。ネタバレが嫌な方、また非BL作品に対して男男間の情念に注視した読み方をしていることが許容できない方はブラウザバックをお願いします。
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【小説】人間に向いてない(黒澤いづみ) 感想
ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿へと変貌させる病「異形性変異症候群」。政府はこの病に罹患した者を法的に死亡したものとして扱い、人権の一切を適用外とすることを決めた。不可解な病が蔓延する日本で、異形の「虫」に変わり果てた引きこもりの息子を持つ一人の母親がいた。あなたの子どもが虫になったら。それでも子どもを愛せますか?
カミュの「変身」(未読だけれど)と同じく突然変異の話だけれど、不条理文学ではなく家族の在り方を問う社会派のお話。
人が突然異形に変わるというファンタジー要素を通してまっとうに社会問題を語っているので、私の知っているメフィストとは……みたいな気持ちになりつつも、面白かったです。
いやでもメフィスト賞は好きだけど50代主婦が主人公のお話がこの賞から出てくるとは……。
以下、長文感想です。相変わらずネタバレありありです。
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