【BL漫画】エロ漫画家とアシくん(博士) 長文感想という名の妄想考察
作者の別作品「ごめんしたって許さない」が面白かったので読みました。
かわいい・ほのぼのという評判はわかる。確かにかわいいしほのぼのしてる。
けれど、ちょっとこれは果たして「恋愛の話」なのかと思ったので、下に長文でつらつら書いてます。
私の中ではこの作品はBLであると同時に、信仰の話だ。
(例によって全力でネタバレしてます)
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【BL漫画】新庄くんと笹原くん(腰乃) 長文感想
よろめき番長の感想記事を書いた時にふと読み返したくなって再読した。ら、めちゃめちゃ面白かった。
2巻完結で1巻と2巻の間が3年半くらい空いたので、初読時は待たされた感慨の方が強かった。再読した今の方がニュートラルに2人のやり取りを見れた気がする。というか、どっちが攻めでどっちが受けかすら忘れていたのでほぼ初読に近い状態でした……。
スピンオフ元の「鮫島くんと笹原くん」も面白いけど、個人的には初めて×初めて同士の「新庄くんと笹原くん」の方が悶え転がる度合いが高くて好き。
燃えるような恋をしろ。
大声だしてのたうち回るような、恥ずかしくて死んじゃいたいような、恋をするんだよ。
男はつらいよの寅さんの台詞。これに収束するような、のたうち回る恋の話だったと思う。
(以下ネタバレ感想)
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【商業BL】いとしの未来くん(吉田ゆうこ) "好き"を通してエゴを獲得した子の話
再読して、改めてBLを描くには挑戦したプロットだなあと思った。
「よく言えば純粋、悪く言えば馬鹿」親友の日平からそう評され、誰にでも優しく、人を疑うことを知らない未来くん。そんな彼が、同性から告白され付き合うことに。心配する日平をよそに、未来くんは恋の甘さと辛さを知っていき……。””いとしい””ってどんな感情? 心の繊細で柔らかいところに触れる、吉田ゆうこ初の長編作。
全4話、全部の回で主人公(受)の未来くんの相手が違う話だ。しかも決してビッチ受ではない。
生来のものなのか 環境のせいなのか
未来は人にとって簡単なことが簡単じゃない
良く言えば純粋 悪く言えば馬鹿
冒頭、メイン攻(日平)による未来くん評。最初に読んだ時は確かにそうかもしれないと思ったけれど、再読すると合っているけれど私の感覚だとちょっと違うかな、と思った。
私の中で物語当初の未来くんは「エゴがない子」だ。その未来くんが恋を通して「エゴ」を獲得するお話だと思う。
以下、物語を通しての未来くんの感想です。
(がっつりネタバレしてます)
続きを読む【商業BL】よろめき番長(依田沙江美) コミュニケーション能力の低さが「不思議ちゃん受」と称されていた時代の話
私が商業BLを一番熱心に読んでいたのは2006年~2011年くらいで、要は10年以上前のことなのですが、それくらい昔の漫画を令和の今再読すると「流石に今読むと絵柄抜きにしても感覚が古いな」と思うこともある反面、「10年前に出たとは思えない」と驚くこともしばしばあります。
「よろめき番長」は私の蔵書の中でも、10年前に出たとは思えない本です。
日本茶専門店で働く若葉は、人間関係が大の苦手。 30年間できることなら人と関わらずに生きてゆきたいと願っていた。 そんなひきこもり思考の若葉に一目惚れをしたのは、社交的な年下男子・吉川。「俺と付き合って下さい」と突然の告白を受け、経験の浅い若葉の頭はパンク寸前…!?難攻不落な若葉に、吉川の愛が入り込む余地はあるのか!?
Amazonだと発売日が2014年10月になってますが、実際は2009年花音連載・2010年初版です。同時期に発売されたBL漫画は「鮫島君と笹原君」(腰乃)、「キャッスルマンゴー」2巻(小椋ムク/木原音瀬)、「純愛えろ期」(彩景でり子)など。
10年前に出たとは思えない、とは言いましたが正直パッと見た画面は2010年基準にしても古く*1話は当時の花音らしいH薄め。
何を指して10年前に出たとは思えないのかというと、受のわかぺー(若葉真平)の人物造形です。
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【商業BL】「もらってください」(新井煮干し子)
童貞×非処女属性持ちにとって最高の本に出会った。
女の子とお付き合いする夢をもった希介の前に立ちはだかる
帰国子女のハイパーイケメンスパダリ男子、
なかちゃん(受)の巨大な愛と誘惑!!
希介はおちんちんをしゃぶられる快感に打ち克つことができるか!?
セックスが物語上のゴール地点に位置する童貞×非処女BLに私が求めているのは以下の2点です。
・受の言動にドキマギしつつなかなか最後まで至れない攻め
・攻の真摯さを可愛いと思いつつも早くセックスしたいなあと悩む受け
「もらってください」はこの2点が真剣に突き詰められている。なぜ攻はいい雰囲気になりつつ最後までできないのか、受は攻が好きなのに強引に押し倒せないのか、とても丁寧に描かれていた。
特にいいなあ、萌えるなあと思った点を項目立てて感想を述べます。
(がっつりネタバレあります)
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