Yの悲喜劇

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【ゲーム】グノーシア クリア記念感想(ネタバレ有)

 「グノーシア」クリア記念感想記事です。

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グノーシア(現在PS Vita、Nintendo Switchで配信中)

 こちらは全力でネタバレしながらの感想記事です。ネタバレ無のレビュー記事はこちら。

 

 以下、長文で語っています。

 

 

1.EDを見終えて

 ノーマルEDを見終えた時、めちゃくちゃに寂しかった。他の13キャラはループを抜けてなんだかんだたくましく生きているのに、セツ一人だけループを繰り返す道を選んだことが。

 二周目を始めて「映画で寝てた事」の選択肢を見た時は震えた。「グノーシア」は話を進めるためのヒントをそれとなくキャラに言わせているのだけれど、別の次元で改めてセツと出会う展開は、ノーマルEDのセツの決意の言葉につながっている。

 

 「グノーシア」の真EDはノーマルEDを否定するものではなく、言ってみればジグソーパズルの最後の1ピースを埋める行為に近い。

 ただ最後の1ピースを埋めた時に、今まで見ていた絵がひっくり返る。

 なぜククルシカとレムナンの組み合わせで留守番になると虐殺が起きるのか。

 SQ人格とマナン人格は何が違うのか。

 主人公はなぜ「グノーシア」の世界のバグたりえたのか。

 不明だったあれこれが伏線として回収され、人狼ではないグノーシアの解決方法につながっていく。回収のされ方が本当に鮮やかで、綺麗なハッピーエンドだった。

 

 他のキャラがループを脱出する中一人ループを続けるセツを迎えに行くEDは、字面だけ見るとすごくベタだと思う。

 それがすごく感動的になるのは、「グノーシア」で100ループ以上繰り返して各キャラと信頼関係を築いていったからだ。

 どうでもいいキャラなら俯瞰的に見れても、ずっと一緒に人狼をやってきた仲間だと思ってるから、助けに行けた実感があって、感慨が深い。

 

 もう一つ良いなと思うのは、真EDがノーマルEDの続きであって、決してノーマルEDを否定するものになっていない事だ。

 真EDはセツ(と一緒にいたSQ・ジナ・ラキオ)を救うことはできても、他のキャラはいない。

 けれど、他のキャラはノーマルEDの時空でループを抜けて、たくましく生きていることを知っている。

 真EDで救われたセツがいることと、ノーマルEDで救われた他キャラがいることは両立している。全員ループを抜ける時空が一つでも存在していることがこのゲームの救いだと思う。

 

2.人とともに生きていくこと

 「グノーシア」は人狼というコミュニケーションツールを通して他人を知るゲームだけれど、すごくいいと思うのは別に人とともに生きていくにあたってその人のことをすべて理解できなくてもいいと示していることだ。

 ノーマルEDでの組み合わせがそれを如実に表していると思う。

 

 象徴的なのはジョナスとステラだ。

 Leviの擬知体であり決して人間ではないステラと、古い人間だからステラが人型端末であることを本能的に理解できないジョナス。

 とあるEDでジョナス死亡ステラ生存だと、ステラは主がいなくなったことを表面上寂しがりつつせいせいしている。半面ステラ死亡ジョナス生存だと「いやあステラがいなくなってよかった」とジョナスが言ってしまい、翌日ジョナスは凍死体となって発見される。

 文面だけ追うと2人は互いの存在を理解しあえないし、何ならいなくなってもそれはそれでいいんじゃないかというたくましさがある。

 けれども、ジョナスとステラはループを抜けた後もずっと2人で生きていく。ジョナスが死ぬまで。

 互いの全てを理解できなくても、気に入らないところがあっても、それはともに生きていく上で必要不可欠なことではないのだ。

 ジョナスとステラを見てると、家族ってそういうものだよなあと思う。

 

 他の組み合わせも興味深い。誠実に生きたジナと、嘘つきで利己的なSQ。SQが最後に探偵になってたのは笑った。似合う。

 ラキオとレムナンはびっくりした。常に他人を見下す構ってもらいたがりなラキオと、徹底的に自己否定されながら生きてきたレムナン。合うのかこの二人と思ったけど、逆に互いの足りてないところを補完しあえるいいコンビなのかもしれない。

 

 一方、一人「不明」になっている夕里子様には笑った。たぶん夕里子様はたくましく生き抜いていると思う。

 人は人とともに生きていく道だけでなく、一人で生き抜いていく道もあるのだと思う。そういった「多様性」の提示が凄く上手い。

 

3.お気に入りのキャラ

 全員好きだけど、一番好きなのはレムナン。可哀想可愛い枠の究極みたいな子で、ひどい目に遭ってきた分幸せになってほしいなと思う。

 あとはオトメ。ステラもそうだけど、人間ではないもの達がグノーシアに感染したことを「人間と同等になれたこと」と捉えているのにははっとした。

 オトメはバグになって「人間になりたかった」と言いながら消えていく様子が切ない……。

 

 「グノーシア」はどのキャラも完璧な善人はいないし、逆に誰にとっても悪役も存在しない。

 相棒ポジションのセツも基本的に良い人だけれど、まったく合わない沙明を開始前に衝動的に消したりしている。誰に対しても誠実なジナは、真EDでマナンに「あなたが消えることを喜ぶ人はいっぱいいるけど悲しむ人は特にいないよ」なんて毒づいたりもしている。このジナ面白い。

 常に言葉に棘があるラキオは、行動だけ見るとむしろいい人になってしまうから言葉遣いは大事だと思う。セツの0ループ目のラキオの準備の良さとかあまりにも頭の切れる人のそれだ。そんな善行をしていても常に人を見下しているラキオがいい奴とは言い切れないのがいい。

 悪役というとマナンもそうだ。マナンはSQにとっては嘘つきで利己的な母親で、レムナンにとっては極悪な飼い主だけど、オトメにとっては面白い話し相手だったりする。まあはた迷惑な人だしろくでもないけど、誰にとっても悪人ではない。

 マナンは真EDでループを抜ける主人公・セツと対比して、ループ=永遠に生きる道を快く受け入れたのも印象的だ。主人公やセツにとっては地獄でも、マナンにとっては天国なのだ。

 

 

 とりとめがなくなってしまいそうなのでここまで。熱中して1周目をクリアしたので、これからゆっくり2周目をやっていきます。まだ回収してないエピソードもあるので。

 とまれ、大変面白いゲームでした。本当にお勧めです。

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